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聞いておりました。息子は、「ファックスを入れて下さい」とだいぶ前から望んでいました。しかし、予算の関係でそれはできませんでした。
息子と私どもは別に住んでいますので、急用は大家さんに、また近所の人に電話でお願いして知らせてもらっていました。普通の用事はいつも手紙でした。
私の家の近くに郵便局に勤めている方がおり、息子の方から速達がくると時間外でも家まで届けていただいたときは、とてもありがたかったです。こちらから速達を出すときは、五キロの道を自転車で郵便局へ行きました。
昭和六十三年、再度、息子の希望でファックスを入れることになりました。主人も賛成して入れてみますと、「なるほど、便利この上なし」です。「よかった」と喜んでいます。
「手話ができなくても字が書ける」と私は一人で決めていました。しかし、聴覚障害の息子がいるのに手話ができなくては……と、考えるようになりました。
そうしている問に、私の住む鋸南町で手話講習会が開かれました。平成五年五月から皆さんより三回遅れて入会しました、ところが習ってみても、そう簡単に覚えられるものではありません。
十月ごろ、とてもむずかしくて嫌気がさしてきました。一回休むとなおさら駄目になってしまうのです。ある日、講演があって、「手話とは覚えるものではなく学ぶもの」ということと、「手話は表情がとても大切です。表情が悪くてはいけません」とお話しがありました。
「そうだ、これだこれに違いない」と考えなおしてまた通いました。それと、手話は長く続

 

 

 

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